Gsan-200 Transceiver
私が常用しているトランシーバーをご紹介します
このトランシーバーの開発は2006年6月から始まりました
CQ誌に発表した受信機の記事執筆が一段落した後、今までの
送信機、受信機製作の集大成となるTRXを作ろうと思い立ち、
誰か一緒に面白いことしませんかと仲間に声をかけたところ
JA1JDD永田氏、exJE1TAF早川氏が乗ってきてくれました
そしてプロジェクトマネージャーはJA1DWM、3人の合計年齢が
この時点で200歳を超えていましたので「Gsan200プロジェクト」と名付けて
Newトランシバー計画がスタートしました。
早川氏は知る人ぞ知る無線機メーカーの元社長
永田氏は私と開局が同じ頃で1960年頃からのSSB機自作仲間
この3人でメーカー製を凌ぎ、且つユニークなトランシーバーを作ろうと言うのです
そして初めて電波が出たのが2008年4月のことでした。
その後改良を加えて現在の回路に落ち着いたのが2010年でした。
先ずはブロックダイヤグラムから
次に仕様書
送信部、受信部の各ユニット
DDS 周り写真
基本設計は仕様書にも示した通り、送信部、受信部ともに9MHzIFによるシングルコンバージョンで受信部はCQ誌に
発表したGENNAI−R5531とあまり変わりませんのでこのサイトでは送信部に重点を置いて解説したいと思います。
この送信部の一番の特徴はPSNとフィルターの併用による不要サイドバンドの低減です、詳しい回路は後述しますが
先ずは送信帯域のスペアナイメージをご覧ください。
この写真で観察できるとおり、キャリヤヌル及び不要サイドバンドは-80dBc以下、-3dB
BWは2.75kHzで非常に優秀な波形です
この波形を実現する回路は簡単に言うと、ブロックダイヤでお解りの通り、AF−BPFと低域だけを受け持つ3段のPSNと
9MHzのBW2.75kHzクリスタルフィルターで構成されます、反対サイドを低減するだけですので30〜500HzのPSNでOKです。
SSB発生部分の回路図を示します。
通過帯域数値 通過帯域データを数値でご覧ください
AF BPF,
AF PSN,
RF PSN & MODULATOR
DDSはAD9954を使用してREF Clock 480MHz でHF帯の信号を発生しています。
DDSで重要なことは発生させる周波数の10倍以上のREF CLOCKを使用しないと
十分なC/N とスプリアス比を確保できないことです、このTRVでの発生周波数の最高値は
39MHzですから480MHzのREF Clockとしました。
DDSの回路は初期に作った回路の電源回りを改良したものに2014年に交換して使用しています
この480MHz Ref ClockとDDS回路はローカルの自作仲間に大変評判が良い回路です。
DDSと各ファンクション制御にはPIC CPUを使用しましたが、
制御用のプログラムは全く同じTRVを作らない限り必要がないと思いますので公開はしません。
最近ローカルの自作仲間は制御用にAVRを使用してプログラムしているようです。
AD9954 DDS回路図
DDSのReference Clockは部品調達のしやすさ、及び回路の簡単さから480MHzとしました。
480MHzの周波数安定度を決定付ける10MHzのRef ClockはNDK製のOCXOとGPS信号等の
外部基準信号を切り替えて使えるようにしてあります(HP測定器のパクリですHi)
DDS用480MHz Clock OSC
Mixerは受信部、送信部ともにH−MODE MixerをSine波でドライブしています、
そうする事によりスプリアスと歪みの無いきれいな波形が得られます
H−mode-MixerをSine波でドライブする回路は10年ほど前のQEX紙上に発表されたTRXで使用されていましたが、
MixerのLOドライブはハイパワーデバイス
CA2832C によるごり押しともいえる方法でした、
私の回路ではその様な 「腕っ節で勝負だ!」 みたいなアングロサクソン民族好みの方法はとっていません。
回路とデータH-MODE
Sine wave Driv_3.pdf へのリンクをご覧ください かなり上品にまとめたつもりですHi
とりあえずGsan-200の主要部分をご紹介しました、これと同じトランシーバを作ろうと言う酔狂な方はいないと思いますが
送信機や受信機の自作を考えてる方の参考になれば幸いです。
蛇足
余計なことだ! と言われそうですが、送信機や受信機を作るときに途中で挫折しないコツは近所の自作好きの仲間を引き込むことです。
そして、互いの尻を叩きあってめげそうになる心を奮い立たせることで本来の目的を全うすることです。
私の家の倉庫には製作途中で投げ出してしまった送信機や受信機の残骸がゴチャマンとあります、それを見るたびに反省しきりですHi。